【勉強会レポート】トラブルばかりのプロジェクトを成功に導くメソッド

6/6(火)に行われたプロジェクト工学勉強会 第2回の勉強会レポートです。                                 

進行途中で想定外の出来事が起きるのはよくあること。

そんなときに役立つのが、どの分野のプロジェクトのどんなトラブルにも普遍的に対応できる方法を考察する「プロジェクト工学」。そんなプロジェクト工学を日々研究する、いわば「プロジェクトのプロ」がその知られざる内容を明かしてくれた。

今回紹介する勉強会は、2017年6月6日に東京・赤坂のアーク森ビルでドコモ・イノベーションビレッジが主催した「プロジェクト工学勉強会 第2回 ~計画通りにいかないプロジェクトに、いかに”勝利”をもたらすか?~」。タイトルにあるように前回応募者が100名を超え、多くの反響を呼んだ勉強会の2回目である。参加費は無料。

講師を務めた「プロジェクトのプロ」とは、多くの企業向けクラウドサービスの導入支援プロジェクトに携わる人材・組織コラムニストの後藤洋平氏と、自治体や映画会社、さらには大手自動車メーカーなど幅広い業界のプロジェクトマネジメントを行っている、プロジェクトエディターの前田考歩氏の2人。
ではさっそく、プロジェクトを成功に導くメソッドを紹介していこう!

目次
1.プロジェクトとは「失敗する」もの!
2.プロジェクトに欠かせない8要素
3.勝利の方程式“プ譜”ってなに?
4.こんなプロジェクト、あなたならどうする?
5.「プロジェクトは創造的な行為だ」

プロジェクトとは「失敗する」もの!

「あらゆるプロジェクトは失敗する。なぜならプロジェクトとはやったことのない仕事だから。」

プロジェクトとは何たるかについて後藤氏は切り出した。プロジェクト=初めてやる仕事は失敗の積み重ねで、成功することはほとんどないという。
続けて後藤氏は、プロジェクト工学における3つの法則を教えてくれた。

①やったことのない仕事の勝利条件は、事前に決められない
(例:両親との旅行の勝利条件は珍しい観光地に行くことなのか、おいしいご飯を食べることなのか、行く前には分からない。)
②プロジェクトにおいては、こうあれかしと考えて立案した施策が、想定を超えた結果をもたらす
(例:旅行の途中で機嫌が悪くなったため、両親と喫茶店に入ったら余計に機嫌が悪くなってしまった)
③プロジェクトの過程における諸施策の結果がもたらす状況は、即座に次の局面における制約条件となり、ときにプロジェクトの勝利条件そのものの変更すらも要求する
(例:両親の機嫌がさらに悪くなったことはその後の旅行程の制約となり、より難易度が高まった状態で次の行動に出なければならない)

さらに、プロジェクトの指揮を執る「プロジェクトマネジメント」の立場として意識するのに重要なポイントを明示した。
自分がいま直面している状況において
①何が未知なのか
②何が既知なのか
③何はマネジメント可能なのか
プロジェクトを任されるとつい張り切ってしまい、根拠のない判断に走ってしまいがち。後藤氏は「未知を未知であると認識してプロジェクトに臨むのが大事。よく知らないことに対して『こうだろう』と思い込んだ状態で何かを始めるのは危険だ」と忠告する。

プロジェクトに欠かせない8要素

後藤氏はプロジェクトで発生する「未知」を克服するうえで、羅針盤としての役割を成す8要素を明示してくれた。彼はこれを「廟算(びょうさん)の8要素」と呼んでいる。
後藤氏「廟算っていう言葉を知っていますか?」
静まりかえる会場…。ほとんどの人が聞いたことのない言葉だろう。
廟算とは中国の軍事学用語で、かつて戦争を始める前には霊廟(先祖の墓を祭る祠)の前で、どうしたら戦争に勝てるか会議していたことを意味するらしい。
ちなみに、後藤氏は「戦争もプロジェクト。世の中で最も難易度の高いプロジェクトのひとつ。」と位置付けていて、プロジェクト工学においては軍事学の知識を応用することが多いという。
その「廟算の8要素」がこちら!

① 人材
② 予算
③ 技術
④ 品質
⑤ 納期
⑥ 環境
⑦ 競合
⑧ 外敵

1番に「人材」があるのにはワケがある。
長く一緒に仕事してきた人とプロジェクトをやると最初からコミュニケーションが成立し、コミュニケーションに割く労力が低く済むため、「勝利の確立が大きく変わってくる」というのである。

8番の「外敵」はプロジェクトを無くそうとする人だが、それまで味方だった人がなる可能性も十分にあるとのこと。
たとえば、大企業の新規事業プロジェクトなどで「上司の○○さんに話をちゃんと通していなかったためにボツになった…」というような話。これを読んでいる人の中にも、経験したことがある人もいるのでは?

勝利の方程式“プ譜”ってなに?

勉強会も中盤に差し掛かり、講師が後藤氏から前田氏にバトンタッチ。

前田氏が紹介するのは、プロジェクトの勝利を実現するためのツール、いわばプロジェクト成功の方程式とも言える「プ譜」である。

プ譜とはなんなのか…?

プ譜とは「プロジェクトの譜面」の略で、最終的な勝利条件はなにか、その勝利条件を実現するための中間目標はなにか、その中間目標を実現するための個々の施策はなんなのかが書かれたもの。
このプ譜にはプロジェクトをマネジメントするためのツールとして、3つの側面がある。

プロジェクトマネジメントのための
① 可視化(記述)ツール
② 仮想演習ツール
③ エディティング(編集)ツール

では、前田氏はプ譜をなぜ推奨するのだろうか?
このプ譜はプロジェクトの開始前・進行中・終了後の3段階で使用できる優れもの。開始前はシミュレーション、進行中は演習、終了後は将棋でいうところの感想戦の役割を果たすのだから、プロジェクトには必須だと言えるだろう。

今回の勉強会では、前田氏が実際のプロジェクトで使用したプ譜をもとにその利便性を解説してくれたが、実践的なプ譜の記述方法については次回の勉強会か少人数グループでの勉強会で説明するとした。

こんなプロジェクト、あなたならどうする?

最後はここまでの内容を踏まえて、フィクションのプロジェクトをもとにしたワークショップが行われた。
ワークショップで提示されたのが、こんなプロジェクト。

プロジェクトの背景
・ X社は家計簿アプリを制作、提供
・ 先行してマーケットに参入し、一定のブランドとシェアを確保している
・ 資金的にも余裕が出てきたので、より顧客満足を高めるような新たな機能を提供したい
・ 若手社員の期待のエース、A子に新たなプロジェクトの白羽の矢が立った!

プロジェクトの過程で、A子は新しい機能を制作会社に見積もってもらったところ、予算500万円にも関わらず600万円と返される。そうこうしているうちに、期限が間に合わないため発注したところ、なんと先方から1000万円という額が出てきた。社長に相談すると「500万円だから承認したんだ!」と言われる始末。期限まであと残り1か月…。こんな破たん寸前の状況でプロジェクトに急きょ参加したあなたはどうする?という課題。

4人ほどのグループで20分ほどディスカッションし、ワークシート上に以下のことを記載する。
① 誰に話すか
② 我々の選択肢はプロジェクトをやめる/○○を減らす/○○を増やす/それ以外
③ そのために/なぜなら
④ ゆえに/そこで

ディスカッションの末、結果は以下の通りとなった。

<プロジェクトをやめる> 0チーム
<○○を減らす>     2チーム
<○○を増やす>     6チーム
<それ以外>      4チーム

「減らす」を選んだAチームは「リリースタイミングを間に合わせるために、機能の品質を落とすと社長に説明する」と発表。
一方、「それ以外」を選んだBチームは「プロジェクトの仕切り直し」を主張。これによって新人A子の人材育成、さらには社長のマインドの変化の2つが期待できると分析した。
ちなみに、講師の後藤氏はまさかの「プロジェクトをやめる」を選択。ざわつく会場…。
その理由について後藤氏は、「なにかを増やそうが、なにかを減らそうが、誰かが傷を負う状態になる。仕切り直しだとそれぞれが利害を優先してしまうところがある。プロジェクトをやめるというのは最初から当事者だった人にはできない手だ。」とプロの目線で解説した。

「プロジェクトは創造的な行為だ」

最後に前田氏は勉強会をこう締めくくった。
「プロジェクトは無限定な条件で作る、創造的な行為だ。」
この創造的な行為をいかに勝利に導くか。二人の研究はこれからも続いていく。

そして、さっそく次回の勉強会に向けた意気込みを語った。
「プロジェクトに関するもので公開されるのは成功した計画書、企画書しかでてこない。でも知りたいのはその過程だ。どんな選択を出して、どんな決定を、どういう脈絡でしたのかは全然表に出てこない。それを我々はプロジェクト工学を通じて勉強会を通じて明示していきたい。」
次回の勉強会は、7月13日(木)の開催に向けて準備中だという。

このレポートを読んでプロジェクト工学に興味を持った方は、ぜひ次回の勉強会に参加してみてはいかがだろうか?
参加のご応募はこちらから⇒http://www.nttdocomo-v.com/div/event/388/

※募集開始は開催二週間前を予定しています。募集開始はドコモ・イノベーションビレッジ公式フェイスブックで告知いたします(https://www.facebook.com/DOCOMOInnovationVillage/)。

今回の勉強会が開かれたドコモ・イノベーションビレッジでは、Villageコミュニティという名で週2回火曜日、木曜日の19時~21時を中心に勉強会や意見交換会を行っている。毎回、様々なビジネスの最先端のテーマで色々な人が主催者として登場するので、ぜひご参加を!

今後開催予定の勉強会はこちらへどうぞ。
https://www.nttdocomo-v.com/div/calendar/

【7月上旬の開催予定】
7月4日(火)AI×交通勉強会~移動格差のない社会の実現に向けて~
7月6日(木)HR Tech 勉強会
7月10日(月)起業家必見セミナー第一回
7月11日(火)観光ビジネス勉強会
7月13日(木)第三回プロジェクト工学勉強会