ドコモ前田社長と語る、オープンイノベーション×プラットフォームが創る新たな景色|NTT DOCOMO VENTURES DAY 2026レポート① | 株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ

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2026.03.17

ドコモ前田社長と語る、オープンイノベーション×プラットフォームが創る新たな景色|NTT DOCOMO VENTURES DAY 2026レポート①

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ドコモ前田社長と語る、オープンイノベーション×プラットフォームが創る新たな景色|NTT DOCOMO VENTURES DAY 2026レポート①

 株式会社NTTドコモ・ベンチャーズは、去る2026年2月19日、東京・大手町にてNTT DOCOMO VENTURES DAY 2026を開催しました。

 本イベントは、NTTドコモ・ベンチャーズが投資する国内外の注目スタートアップ企業やNTTグループ各社が一堂に会する催しです。スタートアップ企業とNTTグループをマッチングし、共創のきっかけ創出を目的として毎年開催しており、今回が10回目の開催となりました。

 本記事ではその中から、NTTドコモ・ベンチャーズの代表取締役である笹原優子と安元淳が登壇した「Opening & Keynote」、笹原がNTTドコモ代表取締役社長の前田義晃を迎えて対談した「Special Panel Discussion」、安元がお笑いコンビEXITを迎えたセッションの様子をお届けします。

カルチャーを変えるために必要な「ワクワク」

 NTT DOCOMO VENTURES DAY 2026の「Opening & Keynote」として、最初に登壇したのは、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役 CEO&CCO 笹原優子です。笹原からは、自身の新たな景色の原体験やカルチャー変革への思い、そのために必要な「ワクワク」についてお話ししました。

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株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役 CEO&CCO 笹原 優子

 この「NTT DOCOMO VENTURES DAY」は今回で10回目の開催となります。この節目に「次のステージに進む」という意味を込め、今年のテーマは「We go on〜新たな景色へと動き続けよう〜」としました。本日は7つのセッションのほか、隣の会場では20社のスタートアップと8つのNTTグループの事業部がブースを出展しています。今日が共創のきっかけの場、出会いの場になれば幸いです。

 さて、私がNTTドコモ・ベンチャーズの話をするときは、いつも私たちのミッションから始めています。力と想いを束ね、世界の景色を変える。これがNTTドコモ・ベンチャーズのミッションです。スタートアップの皆さんの構想実行力と、NTTグループの社会実装力、私たちの思いを束ね、世界の景色を変えていきたいと考えています。

 私には「世界の景色を変える」の原体験があります。昔、人々が電車に乗っているときには、新聞や本を読んでいるのが当たり前でした。それがiモードが始まると、だんだんと携帯電話を見る方が増えていったんです。明らかに、世界の見た目が変わりました。景色が変わるということは、文化が変わることなんだ。そう実感した瞬間でした。同様に、今はスタートアップ・NTTグループの皆さんと、文化・世界を変えていきたいと思っています。

 私はCEOと共にCCO、チーフカルチャーオフィサーという役割も担っています。これは何もNTTドコモ・ベンチャーズだけのカルチャーを担っているのではありません。約1,000社の連結子会社をもつNTTグループにおけるオープンイノベーションのカルチャー醸成もしていきたいと考えています。スタートアップの皆さんは、ぜひそこに巻き込まれてください。

 そのために、NTTドコモ・ベンチャーズは5つの行動指針を定めています。その一つが「ワクワクし、ワクワクさせる。」です。

 サービスや事業を作っている方には共感していただけると思いますが、自分たちがワクワクしなければ、社内もお客さまもワクワクはしてくれないものです。今も私はワクワクしています。皆さんにもワクワクして、今日1日、楽しんでいっていただければと思います。

これまでの投資実績とこれからの重点投資分野

 Opening & Keynoteに引き続き登場したのは、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役 COOを務める安元淳。NTT DOCOMO VENTURES DAY 2026に先立って発表された新ファンドやこれまでの投資実績、具体的な共創事例について語りました。

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 NTTドコモ・ベンチャーズの安元です。私からは直近のNTTドコモ・ベンチャーズの取り組みと、これからの新しい取り組みについてご説明します。

株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役 COO 安元 淳

 はじめに、我々のファンドについてです。我々は2つのファンドを運営しています。一つがNTTがLP(出資者)のNTTインベストメント・パートナーズファンド。もう一つが、NTTドコモがLPのドコモ・イノベーションファンドです。2008年からこれらの運用を始め、2026年1月にはドコモ・イノベーションファンド4号も設立できました。累計運用総額は1,200億円となり、国内最大級のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)だと自負しています。

 続いて投資実績です。NTTドコモ・ベンチャーズはこれまで223件の投資を実行し、その内海外比率は45.7%と高い水準になっています。日本、北米を中心に、ヨーロッパ、イスラエル、東南アジアなど、NTTグループとの戦略的な協業を睨みながら、世界中のスタートアップに投資してきました。

 直近の1年間では24件・64億円の出資を実行。月に2件ペースでの出資は、CVCとしてはかなりのスピード感です。NTTグループの新しい事業を導く共創や、NTTグループの既存事業を強化するための取り組みも生まれており、NTTグループの「出島」としての役割も担っています。

 例えばugo(ユーゴー)社の提供するAIロボティクスプラットフォームとNTT西日本のプロダクトを組み合わせたサービスは、アイリスオーヤマ様のロボットへの導入が決まりました。10代向けに、友達と遊べるたまり場アプリを提供するパラレルは、NTTドコモとの共創を実現。NTTドコモがもつコンテンツとパラレルのコミュニティをかけ合わせることで、新たな体験価値を提供しています。本件は、NTTドコモ・ベンチャーズが出資をした後に、さらに共創を深めるため、ドコモ本体が出資をする事例ともなりました。この2つの事例は、後ほどのセッションでも紹介いたします。(セッション紹介記事は後日公開予定です)

 さて、2030年に向かって、様々な技術革新が予想されています。その中で、ドコモグループはどのような社会変化を起こしていくべきなのか。NTTドコモ・ベンチャーズはそれを逆算しながら、どのような技術、サービス、ビジネスモデルに出資するべきなのかを検討しています。

 そんな中、ドコモ・イノベーションファンド4号におけるターゲット領域を本日発表いたしました。AI、コミュニケーション&コミュニティ、エンターテイメント、レジリエンス、ソーシャルインパクトの5つです。

 例えばコミュニケーション分野では、ちょうどこのイベントを開催している本日2026年2月19日に、10代に人気を博し、グローバルで3,000万ダウンロードされている位置情報共有アプリ「whoo」を提供するLinQ(リンキュー)への出資を発表しました。このようなサービスは、ウォーターフォールでは生み出せません。NTTグループと共創する機会を手繰り寄せていくために、出資しています。

 2025年12月には、東南アジアのスタートアップとの連携強化を目的としたCVC「Synexia Ventures(シネクシア ベンチャーズ)」も立ち上げました。東南アジアスタートアップとNTTグループの共創も、加速させていきます。

 本日、展示ブースには多くのスタートアップとNTTグループが出展してくれています。ぜひお立ち寄りいただき、共創の機会としてください。ありがとうございました。

プラットフォームがもつデータとAIが創る価値

 続いてお送りしたのは、株式会社NTTドコモ 代表取締役社長の前田義晃と、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役CEO&CCOの笹原優子が対談したSpecial Panel Discussionです。NTTドコモのミッションに始まり、ドコモのプラットフォームとしての歴史、プラットフォームを強化するためのスタートアップへの期待などを語りました。

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笹原:
 このセッションではNTTドコモの前田社長をお迎えし「ドコモグループの成長戦略とオープンイノベーション」についてお伝えしていきたいと思います。

 先ほどのセッションでもそうだったのですが、私がNTTドコモ・ベンチャーズの話をするときは、ミッションを最初の話題とします。折角なので、前田さんからもドコモのグループビジョンを聞かせてください。

株式会社NTTドコモ 代表取締役社長 前田 義晃

前田(ドコモ):
 ドコモはビジョンに「テクノロジーと人間力で新しいつながりを生み、心躍る価値創造で、世界を豊かに、幸せに。」を掲げています。ポイントは、ドコモだけでなく、NTTグループも含めて「何をつなぐのか」「どのようにつなぐのか」です。

 人と人、企業と企業、産業と産業といった話はもちろん、データとサービス、お客さまとスタートアップの皆さんをつなげることも重要でしょう。つなぐことで新しい価値が生まれる。強みと強みが補完し合って、化学反応を起こしていく。そのために必要なのが、テクノロジーや人の力だと考えています。

笹原(NDV):
 オープンイノベーションというものを語る上でも、ピッタリのビジョンですよね。

 ドコモはこれまでも、市場の変化に合わせてオープンイノベーションのスタイルを進化させてきました。最初はプラットフォームとして、1999年にiモードを開始。私たちがプラットフォームを作り、その上で様々なパートナーにコンテンツを提供していただき、新しいサービスが生まれてるという時代でした。2010年頃にはスマートフォンが普及しはじめ、dTVなどのサービスを開始。2015年位からはdポイントやdアカウントなどをベースにして、その上でサービスを作れるようになりました。

 前田さんはiモードからこれらに携わってきましたが、この中での苦労やチャレンジングだった点について教えてください。

前田(ドコモ):
 私は2000年にドコモに転職してきて、最初に携わった仕事がiモードです。iモードはまさにプラットフォームで、この時に「場」の大切さやそれが持つ力を認識しました。2005年位には、今で言う音楽サブスクリプションや、エスクローを取り入れたオークションサービスに挑戦したり、まだ携帯電話の画面が小さい頃に配信サービスを展開したりと、色んなことがありました。

 その中でも転換点になったのは、やはりスマートフォンです。iモードの時代は我々自身がプラットフォーマーでしたが、その立ち位置はグローバルプレイヤーに変わりました。我々もその上で戦う時代になったわけですが、配信サービスはコンテンツ調達に大きな投資が必要なので、小さなプレイヤーにはできません。そのため戦略的に取り組む領域となりました。ただそれにも限界があるとは感じていて、そこからdポイントやdアカウントがもつ購買行動データをプラットフォーム的に使う、という思想に行き着いています。

前田(ドコモ):
 購買データは、買い物や決済で貯まりますし、そもそも我々はお客さまの基本的な属性データや位置情報も保有しています。それらを組み合わせることで、お客さまのライフスタイルまで透けて見えてくるわけです。

 こうしたデータがあれば、例えばどのような金融サービスを提供するか、エンターテインメント領域でどのようにお客さまの理解を進められるか、考えられるようになります。AIの時代になった今、大事なのはデータ。データをどのように活用していくかが、それぞれの領域のプラットフォームで求められることであり、実現していくべきことだと考えています。

 特に、多様性のある価値提供のためには、感性がフレッシュなスタートアップの皆さんに、こうしたプラットフォームを活用していただくことが重要で、一緒に価値を作っていきたいですね。

笹原(NDV):
 これまでドコモは、d払いやdポイントなどのプラットフォームを使っていただき、双方がグロースするような共創や、パートナー企業とリテールやマーケティングでご一緒するような共創など、多くの座組に取り組んできました。前田さん自身は、こういったオープンイノベーションの取り組みをどう捉えていますか?

前田(ドコモ):
 スタートアップとのスピーディーかつ多様性をもった共創は、どんどん進めていくべきだと考えています。

 プラットフォームの価値自体は、より動的なものであるべきです。挑戦者に次々と我々のプラットフォームに乗ってもらうことによって、プラットフォームの価値はさらに高まり、成長していきます。そういう意味では、むしろ共創はまだまだ足りていません。我々自身が「一緒に価値を作っていけそうだ」と思っていただき、選んでいただけるプレイヤーになっていく必要があるでしょう。

新たな世代と「つないで」共創を

笹原(NDV):
 続いて、ドコモがこれから目指していくことについてお話させてください。

 安元からもあったように、NTTドコモ・ベンチャーズは2026年1月に、「ドコモ・イノベーションファンド4号」を設立しました。このファンドは「Connect」「Create」「Cultivate Culture」をコンセプトに掲げています。投資ジャンルは5つで、「テクノロジーと人・社会をつなぐ / AI」「人をつなぐ / Communication & Community」「価値をつなぐ / Entertainment」「日々をつなぐ / Resilience」「社会とつながる / Social Impact」です。

 今日は「テクノロジーと人・社会をつなぐ / AI」「人をつなぐ / Communication & Community」を深掘れればと思っています。

前田(ドコモ):
 AIを日々使う中で、自分をちゃんと理解してくれるエージェントになってもらうためには、それなりにやり取りを続けていく必要があることを、皆さん実感しているかと思います。その点では、ドコモが保有するデータが役に立つはずです。

 先日、部下のdポイントやd払い、dカードでの決済データをAIに取り込み、その人を分析してもらったんです。もちろん本人の許可を得てですよ(笑)。そうしたらその方は「ものの見事に当たっている」と言っていました。ドコモが抱えるデータは、自身の分析にも役立つのです。ちなみにその人はプライベートが充実しているようで、安心しました(笑)。

 それで、本人のことがわかって、プライベートで「こういうことがしたい」とわかっているなら、例えば金融エージェントとして「あなたが楽しみたいことを実現するためには、これくらいの貯金が必要ですよね」といった提案もできるでしょう。こうしたエージェントは、これからたくさん出てくるはずです。

 ただ、そのサービスは我々がすべて作れるわけではありません。色んな方、色んな企業に色んなサービスを開発してもらう必要があります。そうやって様々なサービスが出てくると、結果的に社会が豊かになっていくはずです。

笹原(NDV):
 「人をつなぐ / Communication & Community」についても聞かせてください。これは特にZ・α世代を念頭に置いて掲げたものです。その世代を顧客にもつNTTドコモ・ベンチャーズの投資先としては、Jiffcyやパラレル、LinQが挙げられます。

前田(ドコモ):
 Z・α世代は、AIやデジタルを当たり前に使いこなす世代ですよね。これからの世の中の動向を占えるかどうかは、この世代の行動を予測できるか、体験をデザインできるかにかかっています。それができなければ、ドコモは未来を担うプラットフォームにはなれないでしょう。

 そういう意味でも、Z・α世代向けサービスへの投資と共創は重要です。そこからのフィードバックが、プラットフォームの価値を高めてくれると信じています。

笹原(NDV):
 私たちでは気持ちがわからない部分もありますからね。

前田(ドコモ):
 そうですね。分からないからこそ、任せていかなければいけません。以前RePlayceが運営する「HR高等学院」に所属する生徒の話を聞いたことがありますが、非常にレベルが高かった。こういう方々と一緒に取り組みをしていかないと、ドコモの競争力も上がらないと改めて感じました。

笹原(NDV):
 そうなんですよね。AIも早いし、Z・α世代も早い。我々も頑張って追いついて、ご一緒しなければなりません。

笹原(NDV):
 最後に、オープンイノベーションに懸ける思いを教えてください。

前田(ドコモ):
 冒頭で「つなぐ」という話をしましたが、我々は「つなぐ」ことそれ自体を進化させたいと考えています。プラットフォームとして、顧客基盤やデータ、AI、そしてパートナーの方々をつないでいくことで、社会に新しい驚きをもたらす価値を作っていかなくてはなりません。それをスピーディーかつ力強く行うためには、ドコモ単独ではまったく不十分で、スタートアップとの連携が重要です。そういった危機感をもっています。

 新ファンドも、単に出資するための仕組みではありません。共に事業や価値を作り出すための、ある種の「装置」だと思っています。スタートアップの皆さん、ぜひ上手く活用してください。そのためにも、より多くのコミュニケーションをとり、一緒に社会の当たり前となるような価値を作っていけると嬉しいです。よろしくお願いします。

笹原(NDV):
 スタートアップとNTTグループで、一緒に新しい社会やカルチャーを創っていきたいと思います。前田さん、本日はありがとうございました。

前田(ドコモ):
 ありがとうございました。

EXITが選んだベストサービスは⋯

 NTT DOCOMO VENTURES DAY 2026の終盤には「EXITがユーザ目線で読み解くイノベーションの可能性」と題したセッションを開催しました。安元が、whoo、Jiffcy、Elevenlabs、Higgsfieldといったスタートアップ4社のサービスについて、お笑いコンビ「EXIT」に解説。3人でイノベーションの可能性について語り合いました。

安元とEXITのお2人

 EXITが最も気になるサービスとして選んだのは、映画のような品質の生成AI動画を提供するHiggsfield。3人はブースにも足を運び、AIが創る未来を体感する一幕となりました。

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NTT DOCOMO VENTURES DAY 2026はまだまだ続きます。

次の記事では「NTTドコモ・ベンチャーズの支援先7社によるSpecial Pitch」と、ブース出展したスタートアップ・NTTグループ各社の様子をお届けします。

(執筆:pilot boat 納富 隼平、撮影:ソネカワアキコ)

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